2024年第2回定例会 本会議 意見書案に対する反対討論
日本共産党の井坂新哉です。
私は日本共産党神奈川県議団を代表し、ただいま提案をされている意見書案の内、2つの意見書案について反対の立場から討論を行います。
まず、「地方税財政制度の充実・強化を求める意見書案」についてです。
多くの県民要望が寄せられる現在の情勢の中で、地方税財政制度を充実・強化することは私たちも必要と考えており、意見書案の基本的な観点は賛同できるものです。
しかし要望項目の3項目目に、消費税の地方への財源移譲が組み込まれていることについては賛成することはできません。
地方消費税は2020年度から個人県民税を抜き県税収入の一番多い税収項目となりました。これは消費税を10%に増税したことが大きな要因となっています。
消費税は逆進性が強く、国においても地方においても社会保障や福祉施策の財源にするにはふさわしいものではありません。しかも、現在の物価高騰の中で県民生活に重くのしかかっている状況であり、県民生活を支えるためには、消費税を地方税収の基軸とするのではなく、消費税の減税と廃止に向けて取り組むことが必要です。そして、所得税の最高税率を引き上げることや利益を上げている大企業等への減税をやめることなど、税制を改め、地方税財源の確保が進むようにすること必要と思います。このような観点から、要望項目の3項目目に賛成することはできませんので、この意見書案に反対をいたします。
次に「水道システム再構築に資する財政支援制度の創設を求める意見書案」についてです。
水道施設等が更新時期を迎えるとともに頻発する災害への対策を実施する上で、国の補助制度を創設することや災害対策等の施設整備について補助対象の拡充などを求めることは重要なことと考えています。
しかし、この意見書案は5事業者で進めている水道システム再構築の促進を前提とした意見書案であり、私たちは水道システム再構築は抜本的な見直しが必要と考えていますので賛成できません。
意見書案の中には、水需要が平成4年度をピークに減少していると述べられていますが、水需要が減っているにも関わらず、5事業者は宮ケ瀬ダム建設に係る水道施設の拡張工事を続け、ピーク時よりも20%も水需要が減少していた平成13年度には新たに宮ケ瀬ダムからの水を受水することとなりました。これは、過大な水需要予測に基づく過剰な施設整備を行ってきた結果であり、このことにより各水道事業者の経営を圧迫してきました。この経営を圧迫してきたことは、平成17年の神奈川県営水道問題協議会の中で委員から指摘もされているところです。
そしてその後、宮ケ瀬ダムの受水を始めて10年もたたない平成22年には水道システム再構築につながる浄水場の統廃合の方向性が出されました。このことにより川崎市民から存続を求められていた生田浄水場や旧日本海軍の水道として歴史的な価値があった横須賀市の逸見浄水場などを廃止してきました。今後、寒川浄水場、小雀浄水場等の廃止で、神奈川県や横浜市、横須賀市の独自水源を減らし、広域水道企業団への依存度を高めることとなります。
独自水源を減らすことは、災害時の各事業者の水の確保、災害対応を弱めること、広域水道企業団への依存度が高まることによって水道事業に対する住民のチェック機能が弱まる点で問題があると考えています。
また、水道システム再構築では施設整備の費用の削減効果を約902億円としていますが、私は比較検討の在り方に問題があると思っています。削減効果の比較として、水道システム再構築した場合とこれまでの水道施設をそのまま維持することを比較しています。しかし、水需要が減っているわけですから同じ施設をすべて更新する必要はなく、個々の施設で規模を縮小する、もしくは企業団の施設を縮小するなど、複数の案を選択肢として検討し、整備費の削減効果を比較検討する必要があると思います。
私たちは主にこのような観点から、5事業者で進めている水道システム再構築は抜本的な見直しが必要と考えていますので、この意見書案には賛成できません。
以上で討論といたします。