新たな「県立高校改革」とは
安倍政権は「教育再生」を重要政策として教育委員会制度をかえています。
その中で、県教育委員会は、今年度から「県立高校改革」を進めるとしています。その改革の柱は、
- 生徒の多様性を尊重し、質の高い教育、
- 学校経営力の向上、
- 県立高校の統廃合。
となっています。この「改革」で、これまでの生徒や親の不安が解消されるのか、そして高校教育がどう変わるのか、考えてみたいと思います。
県立高校が20校~30校削減されます
神奈川県教育委員会は、生徒減を理由に2016年度から2027年度までの12ヵ年計画で、県立高校を20~30校削減することとあわせ、高校教育の内容を大きく改変する計画を、この4月から始めます。
実施する再編・統合等の改編について(予定)
Ⅰ期(2016年度~2019年度)
(第Ⅱ期対象校は2018年発表予定です)
高校改革で子どもたちの進学は大丈夫?全日制高校を希望しても…
全日制高校の進学率は全国最低レベルです。全日制に入れないために定時制や通信制に進学した生徒は2,600人以上います。
今回の「改革」は、生徒が減る人数以上に大幅に高校を減らす内容です。これでは全日制高校に進学できない生徒をさらに大量に生みだしてしまいます。
学校大規模化で教育の質を落としていいの?
この「改革」では、一学年のクラス数を増やそうとしています。県教育委員会は一学年6~8学級を適正規模としてきましたが、これでは「活気がなくなる」という根拠にかける議論を理由にしています。
過大規模校が増えれば、「特別教室や運動場、体育館の利用が制限される」「全校集会ができない」「生徒の顔と名前がいつまでも一致しない」など、教員から教育の質の低下や、教育環境の悪化を心配する声がでています。
「学力向上」は一部の学校でいいの?
県の「改革計画」では、様々な特性を有する学校を、県教育委員会が指定してつくるとして予算化しています。
例えば、「学力向上進学重指定点校」は、リーダー人材を育成するため、高い学力と知恵や経験を身に付けさせ、進路実現を図るとしています。3年毎に指定校を入れ替えて競わせるというものです。
このように各高校を競わせることが、子どもたちや教育にとって良いのでしょうか。また、県全体で多様な学校をそろえても、入学した個々の生徒にとっては、学校の色に可能性を限定されることになります。現実には遠い高校には通えません。選択の幅は限られます。
高校生は成長著しい時期です。わずか15歳で将来の進路を迫られることは問題です。どの子も豊かな学力・人間性・社会性が身に付くようにささえるのが本来の教育です。特色ある学校づくりと称して子どもの間に過度の競争と差別を持ち込むような「計画」は見直すべきです。
県の新たな高校改革計画
●教育課程研究開発指定校 (11校)
●授業力向上推進重点指定校 (6校)
●ICT利活用授業研究推進指定校 (6校)
●プログラミング教育研究推進指定校 (5校)
●逆さま歴史教育にかかる研究指定校 (5校)
●確かな学力育成推進指定校 (5校)
●学力向上進学重点指定校 (10校程度)
●理数教育推進指定校 (5校)
●グローバル教育研究推進指定校 (6校)
●国際バカロレア認定推進指定校 (1校)
●インクルーシブ教育実践推進指定校 (20校)
●クリエイティブスクール (3校→5校)
●総合学科 (11校→5校)
●普通科専門コース制 (12校全廃)
私たちはこの県立高校改革には反対します
今、安倍政権は「教育再生」を重要政策と位置づけ、教育予算の削減と競争教育をさらに強めようとしています。日本共産党県議団は、こうした安倍政権と軌を一にしたような「県立高校改革」には反対です。
県民のみなさんの願いを県政に反映させ、子どもたちが安心して学べる豊かな教育環境をつくっていきます。みなさんもご一緒に豊かな教育に逆行する「県立高校改革」中止の声をあげましょう。