とりいそぎ、書き起こしを掲載いたします。
上野議員:日本共産党、横浜市神奈川区選出の上野たつやです。私は、共産党神奈川県議団を代表して、安心して子どもを産み、育て、働き、生活できる神奈川県を目指して、妊娠・出産、教育、労働、営業と何項目かのテーマに分けて質問したいと思います。
内閣府が2020年に実施した“少子化社会に関する国際意識調査”では、日本は「自分の国は子どもを産み、育てやすい国だと思わない」と回答した人が61%と過去最多で、過半数に達した唯一の国です。調査結果からは、多くの方が、支援策として“妊娠・出産・教育費の補助、安定した雇用”などを求めていることがわかります。
県民ニーズ調査においても同様で、“子どもを産み育てる環境が今のままでは、子どもをもつのは難しい“との回答は2018年以降58%から64%へと増加しています。
子どもを産むか産まないかの判断を尊重しながらも、社会を維持させていくために少子化対策は必要であり、“経済的負担の軽減”は大変重要と考えます。
まず、出産にかかるテーマから 安心して出産できる神奈川を目指して、はじめに、不妊治療にかかる経済的負担の軽減について 伺います。
本県の特定不妊治療助成の給付実績は、2018年~2020年までは年間1万件近くでしたが、対象範囲が拡大された2021年度は一気に2倍に増えており、不妊治療のニーズの高まりを感じます。
不妊治療は本年4月より保険適用になりましたが、体外受精の治療を一通り行うには、3割負担とはいえ最低でも約15万円以上の費用がかかると聞いており、併用して追加的に実施される先進医療は全額自己負担となるため、更なる経済的負担の軽減は必要と考えます。
また、治療における急な受診に対応するには、仕事の調整が必要であり、職場からの理解を得るための努力と共に、結果がどうであったかなど、精神的にも多大な負担がかかっているのが現状です。長期の治療で、経済的にも精神的にも追い込まれ、子どもを望みながらも不妊治療を中断、断念せざるを得ない事態は変える必要があると思います。
現在、東京都をはじめ各自治体においては、不妊治療における「先進医療」にかかる費用の一部を助成し始めています。
日本生殖医学会によると、不妊治療が漫然と続き、年齢による妊娠の機会が減ることを避けるために、条件によっては可能な限り体外受精を検討することを勧めています。先進医療の自己負担分について、経済的負担を考慮して手が出せない状況はできるだけ減らす必要があると考えます。
そこで知事に伺います。
神奈川県でも保険適用移行期の支援にとどまらず、他自治体のように、不妊治療における保険適用外である先進医療への負担軽減のための助成を行うべきと考えますが、見解を伺います。
次に、 妊婦健康診査の自己負担の軽減について 伺います。
妊婦健康診査は、女性の健康を守り、安心して妊娠・出産をするために大変重要です。健診の内容や回数は、厚労省告示226号により望ましい基準が定められており、基準をもとに医師の判断によって行われます。
厚労省の調査によると、2018年4月時点での公費負担額の全国平均は105,734円ですが、本県市町村の平均は71,417円で全国最下位です。なお、2021年度の県内平均額は74,660円となっていますが、依然として2018年4月時点の全国平均と比べても低く、住んでいる市町村によって補助額はバラバラです。加えて、県内のどこに住んでいても、妊婦健診をするたびに自己負担が生じています。母体の健康を守るため、自己負担無しに妊婦健診を受けることができる環境をつくる必要があると考えます。
そこで知事に伺います。
子育てしやすい神奈川をうたう県として、県内のどこに住んでいても妊娠・出産を望む全ての女性が、安心して健康に出産できるように、自己負担なく妊婦健診を受けることができるようにするべきと考えますが、見解を伺います。
また、国が定める望ましい基準を超えて、医師の判断で15回以上の健診や複数回の超音波検査などが実施された部分については、一定の基準を作って、県として助成する必要があると考えますが、見解を伺います。
次に、公的な教育環境を保障するテーマとして 県立高校改革で示された夜間定時制課程の一部募集停止について 伺います。
これまで私たちは、県立高校改革については、質の高い教育といいつつ、“無理な特色付けをすること”や“過大規模化となり教育環境の悪化につながっていること”“少人数学級を推進する観点”などから反対をしてきました。この点についての考え方は変わっていませんが、今回は、新たに計画に盛り込まれた夜間定時制課程の一部募集停止について触れたいと思います。
今回の募集停止の発表については、2つの点で問題があると考えます。
1点目は、募集停止の方向性の議論が全く明らかにされていない点です。
2016年に策定された“県立高校改革実施計画・全体”には、「定時制の配置の考え方」について、「定時制の配置については…適正な規模と配置に取り組みます。」としか書かれていません。県当局は、これをもって、県民のみなさんにはお知らせできていたと、教育委員会会議で発言しています。
しかし、夜間定時制の募集停止の方向性については、一度も公の場で議論がされておらず、議会では、計画が発表されるまで具体的な募集停止の資料を基に議論がされたことはありません。また、教育委員会では、委員協議会とよばれる勉強会の場で意見交換をしてきたと聞いていますが、どんな資料を用いて、どんな考え方で、どんな議論をされたのか、明らかにはされていません。これが十分な議論を行ったと言えるのでしょうか。
政策決定過程を明らかにするのは、行政の透明性を確保すると共に、民主主義の根幹にかかわる重要な課題であると考えます。
2点目は、県民からの意見を聞く機会を十分に保障できていない点です。
文教常任委員会が開かれた9月29日に、ようやく計画の中身が明らかとなりましたが、募集停止の考え方について知らされてもおらず、県として、この件について県民からの意見を聞いてもいませんから、論議が深まるような状況ではありませんでした。
また、発表後、計画に該当する学校長が、生徒、学校関係者、PTA、地元地域に報告し、その後寄せられた意見について、県当局がヒヤリングを行ったとのことです。しかし、議論の場を設けるなどの意見集約の方法については各学校長に委ねられており、該当する各学校において十分に議論がされたとは言い難く、それ以外の県民に広く問うたわけではありません。
これら2点を踏まえて、教育長に伺います。
県立高校改革・実施計画Ⅲ期の夜間定時制課程の一部募集停止について、計画公表前の議論の過程が非常に不透明であり、県民からの意見を聞く機会が充分に保障されていないと考えますが、政策決定過程を明らかにすることについてどのように考えているのか、見解を伺います。
また、これを踏まえ、実施計画Ⅲ期については見直しを行うべきと考えますが、見解を伺います。
次に、学生の学びを保障するテーマから、 県立保健福祉大学、県立看護専門学校に通う学生への支援について、まず、給付型奨学金の拡充について 伺います。
政府は2012年に〝高校教育と大学教育を段階的に無償にする〟という国際人権規約を批准しましたが、国公立大学の授業料は、横ばいで推移しており、私立大学は9年間で約7万円の増額です。段階的な減額すらされていないのが現状です。加えて、日本独自の“慣習”である入学金は、進学の足かせになっています。
さらに、この状況に加えて、コロナ禍の影響が、学生の生活を直撃しました。
大学生協連や民主青年同盟の調査からは、コロナ禍のもとでアルバイト収入が減り、食費を切り詰めながら生活をしている学生のリアルな実態が、現れています。5人に1人は退学を検討しているとの調査結果もあり、学生の学びを保障する支援が必要です。
私自身も、保健福祉大学の学生から直接生活実態を伺いましたが、4人の内2人は奨学金を利用しており、1人は給付型、もう1人は金利無しの貸与制を利用しているとのことでした。
日本学生支援機構の「令和2年度学生生活調査」によると、大学に通う学生の約半数が奨学金を活用しており、多くの学生が借金をしながら学んでいる実態が浮き彫りとなっています。本県の県立大学、看護専門学校に通う生徒の状況を見ても、同年では約30~40%の学生は、なんらかの奨学金を利用して学んでいます。
国会の議論において、政府も、大学での学びは、社会に出て活躍することで社会全体にとって大きな力になるとの認識は示しています。あとは、学生に対して、学びの保障をする姿勢があるかどうかが問われていると思います。
そこで知事に伺います。
高い学費や学生ローンとも言うべき奨学金が、学生の学ぶ権利を奪っているため、国の制度である給付型奨学金に加えて、県としても独自に対象範囲を広げるなどの拡充を行う必要があると考えますが、見解を伺います。
次に、 実習時の補助について 伺います。
県立大学、県立看護専門学校はともに、各学科の学生は、専門的知見を深めるために何週間と現地実習が必要となります。学生からは「実習中はアルバイトが禁止されているため、それまでに生活費を稼がないといけない。」「4年生になると実習日数が増えるため、2年生のうちから貯金をしている。」「実習先に向かう交通費が自腹なのが厳しい。」などの声を聞いています。
これらの意見は、実習のある学科ならではの特徴です。とりわけ、一人暮らしでアルバイト代を生活費に充てている学生にとっては深刻な事態と考えます。
そこで知事に伺います。
実習時の学生の負担軽減のために、生活費補助や交通費補助をする必要があると考えますが、見解を伺います。
次に、 県立保健福祉大学に通う学生の学費負担の軽減について 伺います。
公立大学法人である県立大学では、運営費の大部分が県からの運営費交付金と入学金や授業料となっています。大学の授業料等徴収規定により、入学金は、県内在住の場合は282,000円、入学前1年以内に県外在住だった場合は564,000円、授業料は年間535,800円です。
過去数年の業務実績を確認すると、コロナ禍で学生生活が苦しい中でも授業料はしっかりと徴収されており、こうした状況であるにもかかわらず、驚くことに大学の報告では、オンライン授業の影響により経費が節減された分を積み立てることができたと評価しています。
また、県からの運営費交付金は、当初予算ベースでみると、一番高かった2020年度から2年間、容赦なく減額され続け、物価高騰による光熱費の支援も一切されていません。
運営費交付金が減らされていくとすると、自主財源を生み出す方法として、学生が負担する入学金、授業料の増額すら懸念される状況です。公の施設として、サービス低下にならないようにするべきです。
これまで、大学が学生への支援を全くしてこなかったわけではありません。2020年度の人事院勧告により知事、副知事の期末勤勉手当が減額された際、県の給与改定に準じている大学としても幹部職員の手当を引き下げ、その分の予算を学生への支援に充てたとのことです。
コロナ禍や物価高騰により学生の生活が厳しい中、大学が独自に学生への支援を努力する一方で、県独自には学生への支援が一切されなかったことになります。
運営費交付金の使い方次第では、学費の負担軽減も可能であることが示されているわけですから、あとは県として学生への支援をするかどうかの姿勢次第だと思います。
そこで知事に伺います。
県立保健福祉大学への運営費交付金を拡充することで、学生の入学金や授業料の負担軽減につなげる必要があると考えますが、見解を伺います。
次に、労働に関するテーマとして、 公契約条例の制定について 伺います。
公契約とは、国や地方自治体の事業を民間企業等に発注、委託する際に結ぶ契約のことです。また、公契約条例とは、自治体が発注する公共工事、業務委託等で働く労働者の賃金下限額を設定し、下請け労働者についても下限額以上の賃金を保障することを、契約事項に加えることを定めた条例のことを言います。
公共工事の質が高まることで公共財産の質が担保されること、住民サービスの質が向上すること、公正な競争機会により受注業者の経営が安定すること、地域経済が活性化することなど、公契約条例には様々なメリットがあります。
業務委託の公契約も大変重要ですが、今回は公共工事に関して伺います。
2013年7月に本県に設置された“公契約に関する協議会”の報告書に書かれた現状認識の1文には「公契約に従事する労働者を巡る状況は、近年の景気の低迷等により低価格競争入札の増加、労働者の賃金へのしわ寄せ、若年入職者の減少といった悪循環になっており、労働者の賃金も含めた労働条件の改善は、重要な課題である。」と書かれています。
報告書が出されて以降、8年が経過した今も、この状況は改善されているとは言えません。
公共工事における、建設労働者の賃金単価である“設計労務単価”は10年連続で上昇していますが、本県が7年続けている“賃金実態調査”によると、ばらつきがあるとはいえ、ほとんどの職種において設計労務単価の8割前後です。県が発注した工事の平均落札率が9割近くであることを考えると、人件費を安く抑えていることの表れと考えます。それにも関わらず本県の評価は、“最低賃金以上の賃金は確保されている”“特に問題や課題はない”とのことです。
また、建物の品質を維持するためには、一定の技術力が必要です。国土交通省の資料では、建設業従業者の数は1997年をピークに減少を続け、2010年以降は横ばいのまま推移しています。55歳以上が約36%、29歳以下が約12%と高齢化が進行し、次世代への技術承継が大きな課題とされています。
建設労働者の賃金実態を改善し、若年層が長く働き続けられる環境を作るためにも、公契約条例が必要と考えます。
そこで知事に伺います。
建設業界が抱えている課題は、2013年当時と変わらず高齢化と人材不足であり、これらを改善するためには労働環境の改善が必須ですが、現場の建設労働者の賃金については、職種や工事内容によりばらつきがあり、実態を一律に比較できないとはいえ、県が発注する工事の設計労務単価の上昇に依然見合っていない職種もある実態について、どのように考えているのか、見解を伺います。
また、建設労働者の賃金確保には、公契約条例が必要だと考えますが、どのように考えているでしょうか、伺います。
次に、安定した雇用に関するテーマから 会計年度任用職員制度について 伺います。
住民の生活を支える自治体の業務は、正規の常勤職員によって自治体が直接執行すべきです。総務省は自ら「公務の運営においては、任期の定めのない常勤職員を中心とするという原則を前提とすべき」と“会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル”に記載しています。
本制度は、一般職、専門職ともに公務の職場には馴染まないと考えていますが、今回は特に専門職について触れたいと思います。
本県では、総職員数の約16%が会計年度任用職員ですが、県立女性相談所の相談、かなテラスにおけるDVなど各種相談、かながわ中央消費生活センターの相談、建築許可の対応、図書館司書、農業技術センター、水産技術センターの研究員など、ありとあらゆる部署で経験と専門性を活かして従事されています。
それぞれ、高い専門性が必要な、図書館司書は約50%、女性相談員や消費生活相談員にいたっては、制度開始当初から全員が会計年度任用職員での採用です。特に相談業務は、専門性や継続性が求められる仕事であり、常時必要な部署であるはずです。
会計年度任用職員の制度上、任期は4月から翌年3月の1年間を範囲内とする、極めて不安定な雇用です。民間であれば、同じ職場で5年間働けば無期雇用にできる「無期転換ルール」が適用されますが、会計年度任用職員にはこのルールが適用されない上、必ず3年を超えると、他の人と一緒に同じ基準で改めて審査をされるため、継続した雇用がされず事実上の雇止めとなります。
継続性と専門性が蓄積されないため、公共サービスの後退にもつながりかねず、そもそも、労働政策として、安心して将来の生活設計を描けるよう、労働環境の整備を図るとしている本県が、このような不安定な雇用のあり方を、率先して行って良いはずがありません。
そこで知事に伺います。
総務省の事務処理マニュアルに記載されている通り、任期の定めのない常勤職員を中心とするという原則を前提とすべきとの観点に立ち、本県行政に重要な役割を果たしている会計年度任用職員については、制度そのものの廃止を国に求め、県としては正規化を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
また、制度開始から今年で3年目を迎えるため、来年3月には大量の雇止めと言うべき事態が想定されますが、改めて会計年度任用職員を広く募集することが法律上必須ではないと記載されている総務省のマニュアルに則って、雇用継続の措置を図るべきと考えますが、見解を伺います。
最後に、営業を守るテーマから、 インボイス制度について 伺います。
2023年10月1日から消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)の実施に向け、昨年10月1日からインボイス発行事業者の登録申請が始まっています。これまでは、売上にかかる消費税から仕入や経費にかかる消費税を差し引いた金額を申告し納付していましたが、本制度では、仕入れの際にインボイス発行事業者の発行する登録番号が記載された請求書、領収書が仕入税額 控除の要件とされています。
免税事業者と取引をした場合、インボイスが発行できないため、納付する消費税額の増加を招くため、これを防ぐために多くの事業者が、取引先から免税事業者を排除しかねません。
全国で500万といわれる免税事業者、9割が免税事業者の農家や、1,000万人いるといわれている配達員など単発で仕事を請け負うフリーランス、文化・芸術、イベント分野で働くみなさんにとって重大な影響が及びます。
自治体が発注、委託する業務についても同様で、すでに全国では免税事業者を排除する旨の対応を行った事例や、県内のある市町村からは、免税事業者との取引によって生じる消費税を自治体が負担することで、予算に影響が及ぶとの声を聞いています。
現在、多くの中小事業者の団体が中止や見直しを求め、日本商工会議所は“検証を行い、影響を最小限にする施策が講じられない場合は延期”、日本税理士連合会は“見直しと実施の延期”など、各種団体から意見が出され、さらには、本年9月末現在で、全国289自治体から中止・延期などの救済を求める意見書が543件も提出されています。
また、全国の2021年度の消費税の新規滞納発生額は5,121億円となり、コロナ前の2019年度に比べて1,000億円以上も増えています。このままでは、消費税が払えなくて倒産・廃業する事業者が続出してしまいます。
そこで知事に伺います。
県内経済にとって重要不可欠な中小零細事業者、農家やフリーランスの営業を守るため、国にインボイス制度の廃止を求めるべきと考えますが、見解を伺います。
また、原則的には制度の廃止を求める立場ですが、県や指定管理者、第三セクターなどが発注、委託する事業者について、免税事業者を排除しないようにする必要があると考えますが、見解を伺います。
以上です。
黒岩知事:上野議員のご質問に順次お答えしてまいります。 初めに安心して出産できる神奈川を目指してについてお尋ねがありました。まず不妊治療にかかる経済的負担の軽減についてです。子どもを望む形が必要に応じて安心して不妊治療を受けられる環境を整備することは重要です。 県では不妊不育専門相談センターを開設し医師や臨床心理士などによる治療や心の悩みに関する相談支援を行っています。 また医療については体外受精などの生殖補助医療を対象に助成を行ってきましたが令和4年4月からは保険適用されることになりました。しかし先進医療に指定されている治療法については保険適用外となるためその部分は全て自己負担となっています。県としては 保険適用となる治療法の拡大が経済的負担の軽減につながるものと考えており安全性や有効性が確認された治療は早期に保険適用とするよう引き続き国に要望してまいります。
次に妊婦健康診査の自己負担の軽減についてです。まず妊婦検診の自己負担についてです。母体や胎児の健康確保を図る上で妊婦に対する健康診査は大変重要です。 市町村は国の基準に基づく妊婦健診の受診に伴う経済的負担を軽減させるため補助券を交付しています。しかし医療機関による費用の差や市町村の補助額の差により自己負担が生じる場合もあります。そこで県では他の自治体の例を参考に補助額の見直しを検討するよう市町村に働きかけていきます。
次に 15回以上の妊婦検診に対する助成についてです。国が望ましい基準として示している妊婦検診の回数は14回程度とされていますので現時点では無料化するための県独自の補助は考えていません。
次に県立保健福祉大学県立看護専門学校に通う学生への支援について何点かお尋ねがありました。まず給付型奨学金の拡充についてです。学生が経済的な事情により進学を諦めることがないようにしていくことは将来の看護職員の確保の観点からも重要です。所得の低い世帯の学生については令和2年度から日本学生支援機構により給付型奨学金が支給されています。加えて県では世帯所得に関係なく一定期間県内で就業すれば返済不要となる看護師等修学資金貸付制度を設けています。こうした取り組みにより学生が経済的理由で学びをあきらめることなく本人が希望する進路に進めるよう今後ともしっかりと取り組んで参ります。
次に実習時の補助についてです。県では実習時の学生の負担を軽減させるため学生が実習する際の実習費については学校に対し補助を行っています。一方で実習時の生活費や交通費については資格を得るために必要な費用として受益者に負担していただくものと考えています。なお所得の低い世帯の学生に対しては日本学生支援機構から給付型奨学金が支給されています。
次に県立保健福祉大学に通う学生の学費負担の軽減についてです。県立保健福祉大学の 入学金や授業料は他の国公立大学等の例を参考にしながら定めています。そして県は県立保健福祉大学の運営のため入学金授業料収入の数倍にあたる運営費交付金を交付しています。こうしたことから現状では学生の入学金や授業料の軽減を目的とした運営費交付金の増額は考えていません。 なお令和2年度より高等教育修学支援制度により経済的に困窮する学生に対しては入学金授業料の負担軽減が図られています。
次に公契約条例の制定についてお尋ねがありました。 まず賃金の状況についてです。 平成27年度から令和3年度までの設計労務単価と県発注工事に直接従事する労働者を対象にした賃金実態調査の結果の推移を比較すると職種によってばらつきはあるものの設計労務単価は約15%の上昇平均賃金は約13%の上昇となっています。 年度によって設計労務単価よりも平均賃金の方が上昇幅が大きいケースもあることから今後も推移を見ていく必要があると考えています。
次に公契約条例の必要性についてです。学識経験者事業者団体労働者団体で構成された公契約に関する協議会からは条例について必要とする意見と適切ではないとする両方の意見がありました。その上で賃金実態調査や条例制定自治体の運用状況調査の継続など検討すべき四つの課題が指摘されました県では引き続きこの四つの課題に取り組む中で条例の必要性について検討してまいります。
次に会計年度任用職員制度についてお尋ねがありました。まず会計年度任用職員制度の廃止及び正規化についてです。非常勤職員等の適正な任用や勤務条件を確保するため地方公務員法等が改正され令和2年度から会計年度任用職員制度が導入されました。本県では法改正の趣旨等を踏まえ常勤職員を適正に配置した上で補助的定型的な業務や毎日ではなく週に数回のみの出勤して行う業務等について会計年度任用職員を配置することにしています。従って制度の廃止を国に求めて県庁に常勤職員のみを配置するということは考えていません。
次に会計年度任用職員の雇用継続についてです。地方公務員法における平等取り扱いの原則等を踏まえ任用にあたっては国の通知で出来る限り広く募集を行うこととされており本県では国と同様公募を行わずに再度任用できるのは2回までとしています。 改めて公募を行う際には既に任用されている方も再度申し込むことが可能であり運用を見直すことは考えていません。
最後にインボイス制度についてお尋ねがありました。まず国にインボイス制度の廃止を求めることについてです。消費税の納税義務者は売上にかかる消費税から仕入にかかる消費税を控除した額を納税しますがインボイス制度はこの仕入額仕入税額を正確に把握するために導入されるものです。県としては適正な課税を行うために必要な制度と認識しており国に対して廃止を求めることは考えていません。
次に免税事業者の排除についてです。県としては免税事業者を入札に参加させないような資格条件を定めることは適当ではないとする総務省通知を踏まえ免税事業者を排除することは考えていません。また指定管理者や県主導の第三セクターに関しては県における取り組みを周知してまいります。 私からの答弁は以上です。
花田教育長:教育関係のご質問にお答えします。県立高校改革で示された夜間定時制課程の一部募集停止についてお尋ねがありました。県立高校改革実施計画の全体計画では定時制について適正な規模と配置に取り組むとの考えを平成28年の計画策定当初から示しています。その後県立高校の夜間定時制課程への志願者は年々減少し今年度の募集定員に対する入学者の割合は約3割まで低下しました。こうした状況を踏まえ定時制の適正配置の具体的な取り組みとして夜間定時制のある 18校のうち6校について令和8年度から募集停止とすることを3期計画案に位置付けました。 3期計画案は今定例会の前半で県議会にお示しし常任委員会におけるご審議をいただいた上で 10月25日に開催した教育委員会で正式に計画決定しています。この決定過程は一期二期の計画策定時と同様ですので今回決定した三期計画を見直す考えはありません。 県教育委員会では三期計画に基づき引き続き県立高校改革にしっかりと取り組んで参ります。答弁は以上です。
上野議員:答弁をいただきました。2点再質問をしたいと思います。順番が前後しますけれどもまず知事に県立大学県立看護専門学校の学生への支援について伺います。冒頭実習費の補助があるとおっしゃってたんですけどこれ病院に対するお礼金のようなもので看護学科の学生にしか該当しないですから栄養士さんですとかそういったところを養成するところには実習費の補助当てられていないという事実を踏まえて是非改めて再質問をしたいと思うんですけれども実習時の補助について質問した際に受益者負担との発言がありました。 質問の中で政府の認識については紹介しましたけれどもこの点本県では特に保健医療福祉の人材不足が深刻ですからその分野の専門家を育成するということは本県にとってもひいては社会全体のためにも重要と考えています。教育における本当の受益者は最終的には社会が益を受けることです。その考え方で言えば こうした学生の負担というのは社会全体で行うべきであって学生個人に負担させることではないと考えます。知事が言うところの受益者負担の考え方では国が批准したはずの国際人権規約に反して一向に学生への負担軽減にはなりません。受益者負担という考え方を改めるべきと考えますが県立保健福祉大学や県立看護専門学校における受益者負担について知事はどう考えているでしょうか。また実習時の負担軽減を含めた学生への負担軽減の考えはないのでしょうか伺います。
次に教育長に夜間定時制課程の一部募集停止について伺います。結局適正配置という言葉だけが情報開示されていてそれ以外の夜間定時制課程の募集停止ということについてはなんら示されていない上での議論だと思っています。夜間定時制課程についてこれまで文教常任委員会では二人の委員から質疑がありましたがその場での答弁は今後検討するといった内容で何ら方向性を示してきたわけではありません。加えて教育委員会の委員協議会においては議事録も取らない意見交換の場でのやりとりです。この点私は政策決定過程を明らかにした上での議論とは思えないのですがこれが政策決定過程を明らかにした上での議論とお考えでしょうか。伺います。また公の場で論議したとはいえない不透明な状況において局内の議論や委員協議会での議論の検討結果など政策決定過程を明らかにすべきと考えますが見解を伺います。以上です。
黒岩知事:それでは再質問にお答えいたします。保健医療福祉の人材を育てる教育そしてそれによって医療が提供されるといった中での受益者負担でありますけれども最終的には社会が益を受けるという面もありますがしかし資格を取得することは一義的には個人の言わば財産となります。そのため実習時に必要な生活費や交通費については基本的には学生本人に負担していただくべきと考えております。答弁は以上です。
花田教育長:教育関係の再質問にお答えします。定時制の適正配置については平成28年の全体計画策定当初からすでにその方向性をお示ししており今回の政策決定過程は一期二期と同様です。また計画策定の背景や考え方等についてはこれまで常任委員会の中でもしっかりとご議論いただいたものと認識しております。以上でございます。
上野議員:ありがとうございました。 最後意見要望をします。初めに再質問した項目から県立大学県立看護専門学校の学生支援についてです。受益者負担の考え方を続けていては到底学生の困難に寄り添うことはできないと私自身は思っています。コロナ禍のもとで本県では特にエッセンシャルワーカーがいかに重要な役割を果たしてきたかを痛感したと私も県の皆さんも思っていると思うんです。このような現場で働く方を養成している学校を持っている本県として多くの人に学んでもらって県内で力を発揮してほしいという思いは同じだと思っていますからお金の心配なく安心して学ぶことはまさに本県にとっての受益になると考えます。その視点に立って学生への支援することを求めます。
次に夜間定時制課程の一部募集停止についてです。 県当局や教育委員会において夜間定時制の募集停止の方向性がいつから議論されたかどうかというのは全くどこを見ても分かりません。 教育委員会委員協議会という議事録も取っていない非公式の場での議論をあたかも論議してきたというように言うのであれば情報公開の精神とも外れていると私は思います。どのような結果になったにしろ政策決定過程を明らかにして広くみんなが論議するということが大切です。教育の場でこのようなことが行われるのは甚だ疑問だと思っていますし到底認めることはできません。改めて計画については見直しを求めます。
次に安心して出産できる神奈川についてです。今回は不妊治療と妊婦検診を取り上げましたが妊娠出産に関わる自己負担はそれだけではありません。生まれるまでも生まれた時もそして生まれてからも例えばミルクやおしりふきオムツなどさまざまに本当にお金がかかるのが実態です。 子どもが生まれるだけでも奇跡的な事なのにも関わらず子どもを望みながらお金の有無で高額な治療経済的負担から諦めることがあってはならないと思います。 市町村授業だとしても県として応援することはできるはずです。県内で子供が生まれた時におめでとう頑張ったねと手を差し伸べるような暖かい施策として自己負担の軽減を進めるよう求めます。
次に会計年度任用職員についてです。ある公務の職場で相談業務で勤めている方何十年と非常勤として働き現在は会計年度任用職員として働いているひとり親のお母さんから話を伺ったことがあります。住民の皆さんに安心してもらう相談業務をしているのに自分たちは毎年雇用がどうなるか不安な気持ちで働いている。こんな環境は矛盾していると思う。その訴えにやはりこの制度そのものに問題があると私自身も感じましたし公としてこんな不安定な雇用を許してはいけないと強く求めたいと思います。
最後インボイス制度ですけれども私が紹介しただけではなくて様々な文化団体やまた政府与党からも反対の声が上がっています。 県内の中小小規模企業者個人事業者やフリーランスなど営業とくらしを守り加えて文化を守る視点から廃止を国に求めることを改めて要望して私の質問を終わります。どうもありがとうございました。