追記:文書質問の回答はこちらから⇒文書質問と答弁(一問一答形式)
〇地方自治法改正における立法事実の認識について
6月19日に成立した改正地方自治法は、これまでの国と地方の関係を根本的に変えてしまう中身が盛り込まれているとして、大きな波紋を呼んでいます。本来、限定的抑制的であるべき国から地方自治体への関与をあいまいな要件のもと可能にしてしまうこと、法定受託事務のみならず自治体の自治事務にも指示することができるようになるとして、有識者や法曹関係者から厳しい批判がなされています。
国の議論の中では、改正の立法事実として、ダイヤモンドプリンセス号の対応をはじめコロナ禍での神奈川県内の様々な対応が引き合いに出されることが多くありました。しかし、本県の『新型コロナウイルスとの闘いの足跡』の課題と教訓では、庁内連携や役割分担、地域の連携や調整が挙げられており、国の「指示」が必要との記載は見当たりません。刻々と変化する非常時に、統一的な指示が逆に足かせになりかねないことは、アベノマスクや一斉休校の混乱で明らかであり、医療体制の確保のためと言いながら自宅療養を推進し多くの批判を浴びた本県において、他県と同じような対応を求められても無理だったのではないでしょうか。
そこで、コロナ禍において、本県では国の指示がなければ収拾がつかないような事態が生じていたのか知事の認識をお聞かせください。また、国の指示権が発動されれば地域の感染状況や医療提供体制が違う中で国の指示に統一されても、全国最下位クラスの本県の医療提供体制の中で他県と同じような対応が可能だったと考えるのか伺います。
〇国の補充的指示権に対する知事の認識について
地方自治法の審議にかかわって、本年3月1日に全国知事会から「国の補充的な指示が地方自治の本旨に反し安易に行使されることがない旨が確実に担保されるよう、事前に適切な協議・調整を行う運用の明確化などが図られるよう強く求める」と声明が出されています。
弁護士で構成する自由法曹団も、(1)立法事実がない(2)国と地方の対等・協力関係を壊す(3)指示権が濫用される危険が極めて大きい(4)有事法制との適用関係が不明確である、と声明で重大な指摘をしています。
さらに、かつて神奈川県の参与を勤めた中央大学副学長の礒崎初仁教授も参考人として、地方分権など国と地方のあり方を研究してきた立場から、「こうした包括的な指示権は、憲法の地方自治の本旨や地方自治法の一般原則に反するのではないか」「緊急事態では国と自治体の協力関係が重要であり、こうした強制的な措置は、対立の深刻化など逆効果になるのではないか」などの懸念を指摘し、指示権の導入に反対する旨の意見を述べられています。
こうした指摘からも明らかなように、これまで事後的に明らかな法令違反等を是正することに限定して許された指示権が、事前に指示を出せるようになり、対象も自治体の自治事務にまで拡大されるとなれば、国と地方自治体が対等な関係というには無理があります。また、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態又はその発生のおそれ」というあまりに曖昧な要件であり、知事会の求めていた「地方自治の本旨に反し安易に行使されることがない旨が確実に担保され」ているとは到底言えないものとなっています。
そこで知事に伺います。国の指示権の拡大は、濫用の危険のない確実な担保があるとの認識なのか伺います。また、事前に自治事務にまで関与を広げる今回の改正は憲法の地方自治の本旨を反するものであるという認識があるのか伺います。
〇離婚後共同親権による本県への影響について
先般成立した改正民法は、いわゆる離婚後共同親権を2年後から実施するものであり、様々な懸念が示されていながら、議論が成熟しないまま可決されてしまいました。
離婚後共同親権の最大の問題点は、離婚する父母が合意していなくても、裁判所が離婚後の共同親権を定めうる点で、真摯な合意がないのに親権の共同行使を強いれば、別居している親による干渉、支配を復活、継続する手段となり、結果として子の権利や福祉が損なわれてしまう危険が否定できません。
神奈川県議会女性活躍推進議員連盟でもお力添えをいただいてきた戒能民江名誉教授も、父母が対立状態にあっても家裁の判断で共同親権を適用するとした要綱案は「現実とあまりにもかけ離れている」と指摘しています。
法案審議の中で、所得制限のある高校無償化や児童扶養手当など法務省が確認しただけでも32項目もの国の支援策の手続きにかかわることが指摘されました。離婚後共同親権となれば別居親の資力も合算して手続きをするとのことで、離婚後共同親権の下でどれほどの影響が生じるのか未だ明らかではありません。
そこで知事に伺います。離婚後共同親権となった際に、県の支援策の中で別居親の資力も要件となるものはいくつあるのか。また、裁判所の決定で共同親権と定められていても実際は別居親から経済的協力が得られていない場合には、単独親権の場合と同様に取り扱うべきと考えますが、県の対応方針を伺います。
〇子どもの最善の利益のために離婚後共同親権の見直しを国に求めることについて
親権は子どもの利益のために、監護・教育を行ったり、子の財産を管理したりする権限や義務のことであり、親の子どもに対する支配権ではありません。いま求められているのは、子どもを主体とした「親権」の再定義です。子どもの意見表明権の明記、裁判官、調査官の大幅増員など家庭裁判所の体制強化が不可欠です。
共同親権の導入に理解を示している日本産科婦人科学会など4学会でさえ、離婚後も父母両方の親権者の同意が必要になれば「生命・身体の保護に必要な医療を実施することが不可能あるいは遅延することを懸念」すると表明しています。
今でさえ、家裁調査官や裁判官、児童相談所などの人手不足が指摘されており、社会的養護の環境整備も遅れている中で、一層の混乱を呼ぶ離婚後共同親権の拙速な導入は子どもの最善の利益に資するものと考えることはできません。家裁の現場からも、突然共同親権の話が持ち上がり困惑しているという声が聞こえてきています。
県でも、例えば児相がかかわる事案で離婚後共同親権となっている場合、親権者の意見が異なった際にどのように対応するのかなど苦慮する場面が出てくるのではないでしょうか。
そこで知事に伺います。2年後に施行となる離婚後共同親権によって、これまでと異なる対応が必要となるものについてどのように想定しているのか、また離婚後共同親権に対して示されている種々の懸念や危険を排することが可能だと考えているのか伺います。そして、子どもの最善の利益を考えるのであれば先般成立した離婚後共同親権について、もう一度見直すことを国に求めるべきと考えますが、知事の認識をお示しください。
〇憲法・子どもの権利条約・こども基本法の理念を実現するための県の取り組みについて
2023年4月よりこども基本法が施行となり、改めて日本国憲法や子どもの権利条約の精神に基づいた子ども政策の推進が社会全体の目的となりました。こども基本法3条の基本理念には、全ての子どもが「差別されないこと(1号)、生命・生存および発達の権利が保障され平等に教育が受けられること(2号)、意見表明と活動参加の機会が確保されること(3号)、最善の利益が考慮・優先されること(4号)」と子どもの権利条約の四原則の趣旨が盛り込まれています。
子どもの権利条約総合研究所の調べによれば2024年5月時点で、全国初の子どもの権利に関する総合条例を制定した川崎市をはじめ、全国69自治体で子どもの権利条約の趣旨を具体化する条例が制定されていますが、本県の「神奈川県子ども・子育て支援推進条例」は子どもの権利そのものに焦点が当たっていないためかここにカウントされていません。現在、神奈川県としてもこども計画の策定を進めており、憲法や子どもの権利条約、こども基本法の理念をしっかりと盛り込んだものになることが期待されます。
そして、こうした理念を県の事業だけでは実現できないため、事業者や私立学校など幅広い県民に要請する根拠となる条例が必要です。その中で、県としてどのような子どもの権利を擁護していくのか具体化し、その権利の救済のための機関を設置し実効性を高めることが重要だと考えます。
そこで、子どもの権利を擁護する一大事業を実現するために、子どもの権利に関する総合的な条例制定と権利救済のための機関の設置が必要だと考えますが知事の見解を伺います。
〇こども基本法の理念に相反する県の対応について
これまで述べてきた通り、日本国憲法および子どもの権利条約の理念を汲んで制定されたこども基本法は、差別されないこと、発達の権利・教育を受ける権利が保障されていること、最善の利益が考慮・優先されることを趣旨としています。
しかし、神奈川県は神奈川朝鮮学園に通う生徒・保護者に対して他の学校法人に通う生徒・保護者には支給されている学費補助の支給を見送っています。こうした仕打ちに対して、毎月県庁前で在校生や支援をする県民、そして卒業生も「後輩たちにこんな思いをさせたくない」と知事に学費補助の再開を求めています。
神奈川県は、神奈川朝鮮学園で使用する教科書から拉致問題の記載が消えたことを理由として、教科書に記載するという神奈川朝鮮学園との約束が支給の「前提」であり、「前提」が整うまで学費補助の予算計上を見送るというもので、「前提」が果たされれば補助金の支給は再開されるとしています。再三確認してきましたが、学費補助の支給対象は生徒・保護者です。仮に前提が果たされてないとしても、その責を生徒・保護者に帰する合理的な理由はどこにも見当たらず、こども基本法3条1~4号の理念と両立できません。
学校側に前提を果たすことを求めるために、子どもたちの学費補助を人質にとるというお門違いな対応は一秒でも早く見直すしかありません。
この間、視察で伺った愛知県や兵庫県では、朝鮮学校や学校に通う生徒・保護者も地域で共に暮らす住民であり異なる取り扱いをするつもりはないとおっしゃっています。本年第一回定例会の厚生常任委員会での「本県に暮らす在日コリアン、あるいは、朝鮮学校、そこに通う生徒や保護者もともに生きる社会の仲間だとおもっているのか」という問いに対して、福祉子どもみらい局長は「人種全く関係なく皆さんともに生きる仲間だと考えて」いると答弁しています。
多文化共生という地域社会の調和を促進すべき行政が、官製差別によって社会を分断することに加担し続けることはあまりに罪深い行いです。こども基本法が施行された今、法の理念に立ち返って対応をすべきです。
そこで、こども基本法の理念を実践する立場に立ち、学費補助の支給で行っている差別的取り扱いをやめるべきと考えますが、見解を伺います。
仮に、改めるつもりがない場合、学費補助支給要件を満たしている生徒が学費補助を受けられていない状況が、差別的とりあつかいでないと考える理由、教育を受ける機会が害されないと考える理由、最善の利益を害していないと考える理由について説明を求めます。
〇不妊治療への支援のさらなる充実について
先日発表された2023年の合計特殊出生率(一人の女性が一生の間に生む子どもの数)は、全国で1.20、東京は0.99、神奈川は1.13でいずれも過去最少となっており、神奈川県は全国で6番目の低さです。人口を維持していくために必要とされる2.06には遠く及ばない状況です。
結婚するかしないか、子を持つか持たないか、それぞれの判断を尊重しながら社会が持続していくように一つ一つハードルを取り除くのが行政の責任です。6月6日付の神奈川新聞で、県総合政策課は「経済面をはじめ子育てへの不安や価値観の多様化で非婚、晩婚化が進み、少子化に歯止めが掛からない状況」と認識を示し、「要因は一つではなく、総合的な対策が求められる。子ども施策を重点に据えており、国や市町村と連携して取り組む」とコメントしていますが、子育ての不安を払拭する強いメッセージとなるような施策が必要だと考えます。
神奈川県は、この4月から保険適用で不妊治療を行っている夫婦に対して、先進医療にかかる費用が10割負担だったものを3割負担となる神奈川県の補助制度が開始しました。しかし、県単独の制度ではなく、市町村との協調補助であるため、2024年5月末時点で33自治体中14自治体しか制度を活用できない状況で3政令市でも取り組まれていません。せっかく制度が開始しても、多くの県民がこの制度を利用できない現状は率直に言って残念でなりません。また、支援の中身や対象についても拡充していく必要があると感じます。
山口県では県単独で人工授精のほか、体外受精の自己負担分(6万/回)や先進医療の治療費全額(20万/回)を対象にした実質自己負担が0となる補助制度が始まりました。福島県や富山県でも、体外受精の保険適用回数の上限を超えた夫婦に対して、保険適用時と同程度の負担で治療できるような制度を行ってきました。こうした他県の取り組みを参考しながら、さらなる充実に取り組むことが、全国で6番目に低い合計特殊出生率の神奈川県において、子育ての不安を払しょくできる強い施策展開となるのではないでしょうか。
そこで、今後本県の不妊治療の助成制度の活用を広げていくためにどのような取り組みを考えているのか伺います。また、制度の中身としても助成の対象を広げるほか、年齢や回数の制限を撤廃するなど利用できる人を増やしていくべきと考えるが知事の意気込みを伺います。
〇こども医療センターを利用する県民の負担軽減について
先日、こども医療センターに子どもが通っている保護者から駐車料金の減免対象が縮小され自分たちも対象にならなくなるとの声が寄せられました。担当課に確認したところ、今年の6月3日から駐車料金の減免の対象からベビーカー提示による駐車場料金免除を廃止とするとのことでした。この改定については、駐車場の安全対策を強化するために費用が増加し、それをまかなうためにこれまでも料金の値上げをしてきたが、駐車場の運営自体は未だに500万近くの赤字のため、今回の減免対象縮小で黒字に向かう見込みとのことでした。ベビーカーを持参した人と、ベビーカーを病院で貸し出してもらった人で駐車料金の減免に差が出るのは不公平だと病院が考えたようですが、利用者からそうした声を受けたわけではありません。駐車料金の減免といった福祉的な支援は、サポートが必要な人にしっかりと行われるべきで、その対象が県立病院の経営状況に左右されるべきものではなりません。
一方で、駐車料金減免の対象には「電気自動車登録カードの提示」というものがあり、これは県の政策誘導のために県立病院機構が減免対象としているものです。
こども医療センターに通う子どもたちの多くは、地域の医院などで治療を受けることが難しく県内外各地から通院してきています。県の「かながわ子どもみらいプラン」でも「社会全体による子ども・子育て支援のための基盤づくり」とあり、この実践として駐車場の減免分に対する補填を政策的に行うべきです。
問題の根幹には、駐車場の赤字を県や県立病院機構ではなく、利用者に負わせようとしていることにあります。子どもがどんな病気や怪我、障害であってもその子の人生を支えていけるという確信が持てる社会の姿が必要です。県として県立病院機構への交付金を増額し、駐車料金の値上げなど利用者の負担増とならないようにすべきと考えますが、知事の考えをお聞かせください。
〇地域公共交通確保のための県の取り組みについて
共産党県議団として、5月に県西部7町の町長と懇談を行いました。その中で多くの町で共通して出された課題は公共交通維持でした。現在多い声としては、バス停まで行けないので家からバス停や目的地までの移動をどうにかしてほしいというものだそうです。
町ではAIを活用したオンデマンド交通や地域循環のバスを走らせるほか、バス会社に路線を維持してもらうために補助をしているところもありました。
町からの声を受けて、県は国交省に対し地域交通サービスの維持・確保に向けた支援として、地域公共交通確保維持事業について、補助要件の緩和や拡充と十分な予算措置を要望しています。
県は地域交通サービスの維持・確保が困難な理由として、少子高齢化・人口減少、運転手不足の深刻化を指摘しています。持続可能な地域交通を確保するためには運転手の労働環境の改善と賃上げによる処遇改善、地域交通の利便性を高め利用者の確保が必須であることは言うまでもありません。
現在、国や県が進めるライドシェアの展開は、維持が困難になっている地域交通への支援拡充ではなく、新たな事業者参入で賄おうというものです。これは大穴が開いた風呂釜に手で水を注ごうというようなもので、根本的な原因の解決をわきに置くものです。
宇都宮では、LRT開通にあたりバス路線の再編、他の交通手段から乗り継ぐ無料の駐車・駐輪場の設置や乗り継ぎに対する割引制度を実施することで、利便性を向上させ利用促進を図っています。
県内でも、松田町で取り組まれているAIオンデマンド交通は、買い物しやすい隣町にもバス停を設置し今後周辺自治体との連携も模索しているとのことで、まさに利便性を向上させ利用促進を図る積極的な取り組みと言えます。住民は自治体を超えて生活している以上、自治体の事業でも民間事業者においても広域的な視野で対応することが必要だと考えます。
そこで知事に伺います。住民の日常生活に不可欠な地域公共交通をこれからも維持していくためには、これまで利用していなかった人にも移動手段を転換してもらえるような利便性の向上が不可欠だと考えます。そのためには、自治体を超えた路線の設定や利用しやすいダイヤの維持のための予算措置など市町村任せではなく、調整や連携を主導するなど広域自治体である県の役割が問われていると考えますが、県として今後地域公共交通の維持に対してどのような県独自の方策を講じようと考えているのか認識を伺います。
〇酪農業の意義について
わが国の食糧自給率が38%とその水準の低さが問題となっており、農漁業生産者の支援・育成が課題です。中でも酪農家に関していえば北海道以外の農家の減少が顕著です。輸入自由化のあおりを受けて乳製品の国産の割合は減少していますが、飲用乳は100%国産で賄われています。酪農関係者の研究と技術改善努力で日本の乳牛一頭当たりの搾乳量は世界トップクラスとなっていますが、このまま酪農家の減少が続けば牛乳や乳製品の供給に大きな打撃となります。
酪農は循環型農業の柱として農業全体に貢献する側面を持っています。人が直接有効活用することが難しい草を食糧に変え、糞は肥料になり、その肥料は畑や水田で利用され、土に戻ります。
このサイクルによって、生産者同士が責任を持ちながら農業システム全体の品質向上につなげることが可能であり、飼料生産や放牧による水田など農地の有効活用、遊休農地の解消にも資するものと考えられます。
県内酪農家の方によれば、豚や鶏に関してはここ2,3年ほぼ廃業がない中で、酪農家は減り続け、この一年間でも県内約100軒の酪農家のうち16軒が廃業を余儀なくされているとのことです。現在なんとか持ちこたえているが、乳代の収入が1700万円、飼料代にかかる経費が2500万と支出が収入の1.5倍かかり、それに加えて運搬代、施設整備代、水道代など大幅な赤字経営になっているとのことでした。それに対し、国や県からの恒常的な支援がないことが厳しいとおっしゃっていました。
そこで、本県における酪農業の存在意義をどうとらえているか知事の認識をうかがいます。
〇酪農業への支援について
乳牛1頭は一日に30キロの乳を搾るということで毎日100キロ近い水を呑みます。台風で水道管が使えなくなった際は大変な思いで遠くから水を運搬したとのことです。
配合飼料価格安定制度は飼料代高騰の激変緩和を防ぐものですが、この制度による交付金は、ウクライナ侵攻や大幅な円安などが要因となり、2022、2023年には交付金が措置され何とか乗り切ることができましたが、2024年第一四半期はアメリカでのトウモロコシの豊作などを要因に価格上昇がみられないことから交付されておらず、非常に厳しいとのことです。
そこで、県として酪農業の公益性を鑑み、国の財政支援がない場合に県単独ででも酪農家の経営存続のために緊急の支援を検討すべきと考えますが、知事の認識を伺います。また、このような為替相場や気象条件に大きく左右される業種に対して恒常的に財政支援制度を設けるべきと考えますが見解をうかがいます。
〇自治体の人材確保のための県内市町村の地域手当について
日本共産党県議団が、5月に県西部の7つの町の町長と懇談をさせていただいたなかで、もう一つ共通して出されたのが、職員の確保についてでした。
特に、保健師や技術職員などの不足が顕著だとのことで、不足している要因の一つとして給与などの処遇面の課題、地域手当の問題が挙げられていました。地方公務員の地域手当は、国家公務員の地域手当に準拠して設定されることが基本となっており、県内では、横浜市・川崎市・厚木市が16%、鎌倉市が15%、相模原市や藤沢市が12%となっています。一方、私たちが懇談をさせていただいた県西部の町では、国が示す地域手当は0となっています。仮に国家公務員大卒初任給に該当する俸給にあてはめた場合、月額約3万円の差となり、各自治体の基本給の差やその他の手当が含まれればこの差は一層広がることになります。
このような状況の中、いくつかの町では、職員確保のために市町独自で地域手当を設定しています。しかし、この独自の地域手当がなかなか広がらないのは、地域手当を独自に支給するとその分地方交付税の特別交付税が減額されるというペナルティーが科せられることになっているところにあります。このことが町の財政に大きな影響を及ぼし、独自の地域手当をつけることができず、職員確保に至らないとの切実な声が出されています。ある町では、採用した保育士が次の年に辞め、県内の別の都市に就職したなどの実例も出され、職員確保に大変苦慮している姿が浮き彫りになりました。
そこで知事に伺います。このような状況を改善しなければいけないと、県内の町村会は特別交付税の減額措置をやめるよう国に意見を出しています。県としてもこのような状況を踏まえ、県内の市町村といっしょになり、国に対して、せめて減額措置をやめるよう強く迫る必要があると思いますが、見解を伺います。同時にこの地域手当の在り方を抜本的に見直すことも必要と思いますが、見解を伺います。
〇県と市町村との人事交流について
県では、以前から人事交流システムとして県内市町村との人事交流として職員の派遣をお互いに行っています。この制度は、県と市町村間で同一人数、同一職種、同一期間の対等交流を原則として行っており、ほぼすべての県内市町村と職員交流を行っています。
一方で、2020年から県は専門職員派遣制度を作り、保健師や技術職員の派遣を行っています。この制度は、原則10年間、県が県職員を市町村に派遣し、その間に市町村で専門職員の採用に取り組んでもらう制度です。現在、12市町村に12人の職員を派遣しています。また、この他に部局によっては、市町と協定を結び職員を派遣しているところもあるとのことです。
このような取り組みは非常に大切であり、県内市町村の人材確保、住民サービスの低下を防ぐために県が力を発揮することは重要なことと考えます。
そこで知事に伺います。県職員の確保の課題はありますが、県内市町村を支援するためにこのような人材派遣をもっと強めることが必要と思いますが、見解を伺います。