日本共産党県議団が提出した質問趣意書に対する回答です。
答弁書
1 黒岩知事の県政運営に人権尊重の意識強化を
● 県庁に寄せられた苦情の総数と代表的な意見、知事就任会見での謝罪及び県民の声に対する考えについて
苦情は、4月5日から24日まで集計しており、その総数は460件でした。
そのうち多かった意見は、知事選からの撤退を求めるものや、辞任すべき、非常に残念といったものがありました。
県民の皆様に不快な思いをさせ、皆様からいただいている信頼を裏切ってしまったとの認識の下で、4月10日の就任会見において、県民の皆様に対して謝罪をしました。
寄せられたご意見に対しては、お詫びするとともに、県民の皆様からの信頼を取り戻すべく、県政運営に全力を尽くしてまいります。
● 庁内におけるセクハラ・パワハラ防止方策と職員のメンタルケアについて
(庁内におけるセクハラ・パワハラ防止方策)
県では、ハラスメントの相談窓口を設け、外部の弁護士を相談員として配置しているほか、部下の視点からのチェックにより、幹部職員が自らの課題を認識し、改善へと繋げる「マネジメント・サポート・システム」を実施するなど、ハラスメント対策の仕組みを整えてきました。
また、セクハラやパワハラについて、幹部職員を対象とする研修を実施するなど意識改革にも取り組んできたところであり、引き続き、ハラスメント防止に向けた取組を進めてまいります。
(職員のメンタルケア)
県では、職員のメンタルヘルス対策として、まずは、階層別のメンタルヘルス研修などの教育研修を行っています。次に、一次予防としてストレスチェックや過重労働面接などによる状況把握・未然防止、二次予防としてメンタルヘルス相談体制整備による早期発見・早期対処、三次予防としてメンタル不調状態により療養していた職員の職場復帰支援・再発防止といった段階に応じた取組を行っています。
引き続き、全ての職員がいきいきと働ける、活気のある職場環境づくりに向けて、職員の心の健康の保持増進のための取組を、組織的、計画的、継続的に進めてまいります。
● 女性が活躍できる社会に対する認識と県の職場における女性活躍について
(女性が活躍できる社会に対する認識)
出産・育児期にあたり、就業率の落ち込む 35 歳から 39 歳女性の本県の労働力率は、全国で下から2番目となっています。
こうした女性の就業継続の難しさは、女性のキャリア形成を阻むことにもつながっており、政治や経済をはじめ、女性の参画は未だ十分とはいえず、男女共同参画の実現は道半ばです。
女性が活躍し、女性の意思が広く社会に反映される社会を実現するためには、かながわ女性の活躍応援団員の企業・大学の先進的な取組のように、社会のあらゆる分野で女性の参画、リーダーの育成を進めていくことが大変重要であると認識しています。
(県の職場における女性活躍)
県では、女性活躍にとっても大きな障壁となっている長時間労働の是正に向けて、働き方改革推進本部の下、全庁をあげて働き方改革を推進してきました。
また、育児や介護を理由にやむなく退職した場合でも一定期間内であれば復職できる「カムバック制度」の導入など、育児・介護と仕事の両立にも積極的に取り組んでいます。
さらに、職員と上司が一緒になって、育児休業等の「取得計画書」を作成するなど、男性職員の育児に対する意識を高めるための取組も進めており、引き続き、女性の活躍推進に向けてしっかりと取り組んでまいります。
2 行政DX
(1)基盤整備について
本県では、庁舎等の県有施設における公衆無線LANについて、これまで官民が共同して整備する取組を行ってきました。
具体的には、公衆無線LANの設置ができる県有施設一覧を県公式ウエブサイトに掲載し、そのうち通信事業者等が希望する施設に公衆無線LAN機器の整備や運用、保守等をしていただくもので、災害時には整備した通信事業者等に関係なく、誰でもその公衆無線LANを使えるようすることを条件としています。
また、この取組とは別に、施設利用者の状況を鑑み、自主的に公衆無線LANを整備している施設もあります。一方で、昨今は通信事業者が提供している通信回線の地域カバー率の拡大や、通信料金の低価格化などが進んだこともあり、民間において整備された無料の公衆無線LANについて廃止する動きも見られます。
県としては、こうした状況にも注視しつつ、当面、官民共同による公衆無線LANの整備に取り組むとともに、施設の特性に応じた適切かつ効果的な整備に取り組みます。
(2)チャットGPTなど生成AIの行政での活用の可否について
県では、事業のアイデアづくりや公開文書の要約、あいさつ文の下書き等に活用することで、業務の効率化につながることが期待できるため、5月からチャットGPTの試行を始めています。
試行においては、県の業務に活用できる利用例を収集するとともに、個人情報の漏洩、生成データの正確性、著作権の権利侵害といった、利用上の課題の洗い出しや、その対応方法についての検証を行っています。
今後、試行結果や利用上の留意点などをまとめたチャットGPTを活用するためのガイドラインを作成し、その内容を職員にしっかり周知したうえで、県庁内での本格的な導入に向けた準備を進めてまいります。
(3)5G基地局設置などを踏まえ、電磁波による健康被害に苦しむ方に配慮した取組を
電磁波の一種である、携帯電話基地局などの電波による健康への影響について、わが国では、電波が人体に対して安全な状況であるか否かの判断をする際の基本的な考え方や、それに基づく基準値などを示す、国際的な基準にも準拠した「電波防護指針」を定め、この指針に基づく規制を行っています。
これまでの国内外での研究では、一定の基準値に満たない電波が健康に悪影響を及ぼすという科学的根拠は示されていないことから、世界保健機関(WHO)をはじめ各国では、安全上の問題はないとしています。
また、第5世代移動通信システム(5G)についても、国では、「周波数が高くなっても、人体への作用がより強く働くわけではない」「携帯電話事業者が基地局等を設置する際は周辺の電波の強さが国際的な基準値以下となるよう定められており、人体への影響は認められていない」としています。
さらに、心臓ペースメーカーなどの植込み型医療機器への影響については、国が「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器等へ及ぼす影響を防止するための指針」を定め、そうした医療機器を使用する方に配慮した行動を呼び掛けています。こうしたことから、現時点では、県が電波の健康被害等について周知を行うことは考えていませんが、引き続きWHO等による研究の状況を注視し、明確な健康被害が示された場合には注意喚起を行っていくなど、適切に対応してまいります。
3 県営住宅の建替に当たる情報提供
県は平成 31 年3月に策定した「神奈川県県営住宅 健康団地推進計画」に基づき、県営住宅のバリアフリー化や居住性能の向上を図るため、計画に対象団地を位置付け、建替えを進めています。
まず、県営住宅の建替えは、調査・設計、現在お住まいの方の仮移転、建替え工事の流れで進めており、全体で5年程度を要しています。
仮移転については、県が仮移転先を確保するとともに、仮移転先の家賃については、現在の家賃を上回ることがないよう配慮しています。さらに、できるだけ同一団地内に仮移転先を確保することとしています。
次に、自治会、住民への周知につきましては、建替えを円滑に進めるため、団地全体の配置計画がまとまった段階で、住民説明会を開催し、建替えスケジュールや仮移転先の候補、家賃負担等について説明しています。
今後も引き続き、住民の方が不安を抱かないよう、適切な情報提供に努めてまいります。
4 龍城ケ丘プール跡地整備計画の見直しについて
龍城ケ丘プール跡地を含む整備計画地では、戦中から戦後にかけて製塩業が営まれていましたが、順次廃業し、昭和 45 年には全ての建物等が移転したことから、海岸管理者である県が、海岸利用を目的として芝生や樹木からなる海岸緑地を整備し、これまで、除草や剪定などの維持管理を行ってきました。
平塚市の調査の適正判断や、市の整備計画の検証についてですが、県は、海岸管理者として、海岸法に基づく申請や協議を受ける立場ですので、平塚市から、海岸の占用について協議を受けた場合には、津波、高潮等による災害からの防護、飛砂や塩害など環境への影響といった観点から、海岸法に基づき確認してまいります。
5 太陽光パネルの設置義務化について
脱炭素社会の実現のためには、あらゆる主体が脱炭素を自分事として捉え、オールジャパン、オール神奈川で取組を広げていくことが必要です。住宅への太陽光発電の導入、住宅の断熱・省エネ性能の確保等については、県民の皆様が脱炭素を自分事として捉え、自ら率先して実施していただくことが重要であることから、直ちに太陽光発電の導入等を義務化する考えはありません。
県としては、まずは県民の皆様の自分事化を後押しする取組を進めたいと考えています。
具体的には、太陽光発電の導入を促進するため、令和5年度は初期費用の負担なしで設置できる「0円ソーラー補助」の事業費を約2倍にするとともに、市場価格より安い費用で購入できる「共同購入事業」を引き続き実施しています。
また、住宅の省エネ化を促進するため、既存住宅の省エネ改修補助を約20倍と大幅に拡充したほか、「ZEH導入補助」の補助単価を大幅に引き上げました。
こうした取組を推進することで、脱炭素社会の実現に向けて、住宅への太陽光発電の導入及び住宅の断熱・省エネ性能の確保の取組を進めてまいります。