2022年5月30日
神奈川県知事 黒岩 祐治 殿
神奈川県教育長 花田 忠雄 殿
日本共産党神奈川県議会議員団
団 長 井坂 新哉
物価高騰に対する緊急経済対策の実施を求める申し入れ
新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢、異常円安の影響によって物価高騰が続く中、県民の生活と共に企業の経営も悪化をしています。
この間、私たち県議団にも、「年金が下がっているのに物価が上がり、不安しかない」との声や、生活保護を利用されている方から生活福祉資金を使いたいとの相談が寄せられるなど、「これ以上何を削ればよいのか」と切実な相談が寄せられています。
日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」(4月7日公表)では、1年前に比べて物価高を実感している人の割合が81.2%と、昨年12月調査の77.4%を上回りました。
実際に、5月20日公表の消費者物価指数(全国)では、都市ガス代23.7%、電気代21.0%、生鮮魚介12.1%、生鮮果物12.1%と大幅に上昇しています。
物価高の影響について、内閣府は「日本経済2021―22」において、エネルギーや食料品の価格高騰が家計に与える影響について「低所得者に対してより大きな影響を与える」と指摘しており、生活必需品の値上げは貧富の格差をより拡大させることは明らかです。
また、大和総研のリポート(5月16日発表)では「サプライチェーンの川下に近い事業者は、相当に厳しい状況に置かれることが予想される」としており、まさに小売店や中小零細事業者などが大きく影響を受けることが想定されています。事業者が価格転嫁をすれば国民生活は苦しくなり、できなければ企業経営が圧迫される事態です。
物価高騰から生活と営業を守り、格差拡大をこれ以上深刻にさせないために、地方創生臨時交付金の活用にとどまらず、県独自の財源措置を行うことと併せて、国への要請が必要です。よって、以下の項目を強く求めるものです。
記
1 部局横断的に物価高騰対策本部を設置して中小事業者の経営支援を行うこと
1)県内業者や労働者への物価急騰による影響や実態を把握するとともに、相談窓口の設置、支援策の周知を行うこと
2)中小事業者に対する物価や燃料費高騰分の負担軽減補助を行うこと
3)各種の福祉施設・事業所・医療機関が電気代や食材料費などの高騰に対応できるよう、緊急に財政支援を行うこと
4)中小の旅行業者等に対する経営支援を行うこと
5)公衆浴場は、統制価格であるため、燃料費の高騰分を入浴料に転嫁できないことから、公衆浴場への負担軽減措置を行うこと
6)漁業者・農林業者に対する経営支援を行うこと
7)県発注契約において、物価高騰等に対する設計労務単価のスライド制度について受注業者と迅速・丁寧な協議を行うこと
また、設計労務単価の増額分が最終下請まで賃金や資材調達費に反映されるよう周知するとともに、下請業者からの相談窓口を設置すること
8)鉄道・バス・タクシー・旅客船・航空など地域公共交通の経営支援を行うこと
9)地域の物流の維持に向けた経営支援を行うこと
2 生活困窮者対策本部の機能を拡充し下記の取り組みを行うこと
1)ひとり親家庭などの子育て世帯、失業者、内定取り消し者、学生、生活困窮者への給付金の支給を行うなど、支援策を講じること
2)熱中症対策のため、生活保護利用者や低所得者に対し、エアコンの購入・設置費用及び電気代への助成(夏季加算を含む)を行うこと
3)家賃を払えず住居を失うことがないよう、家賃補助を行うこと
4)学校給食の質を低下させないために、県立特別支援学校や県立定時制高校に対し、食材費の支援を行うこと
また、市町村立学校、保育園や、幼稚園などの給食に対しても県として食材費を支援すること
5)生活者に対して電気ガス料金を含む公共料金の負担軽減を行うこと
6)在留外国人労働者等に対する就労支援を行うこと
3 国に対し以下の要請を行うこと
1)消費税率を5%に引き下げ、インボイス制度を中止するよう国に申し入れること
大企業の内部留保を活用し、労働者の賃上げとなるよう施策を講じること
2)雇用調整助成金、休業支援金、給付金の特例措置を7月以降も継続すること
3)生活保護費や年金支給額の引き上げを行うこと
以上