2021年8月17日
神奈川県知事 黒岩祐治 殿
健康医療局長 山田健司 殿
日本共産党神奈川県委員会
委員長 田母神 悟
日本共産党神奈川県議会議員団
団長 井坂新哉
新型コロナ感染爆発から県民の命を守る緊急申し入れ
神奈川県の新型コロナウイルス感染症の累計感染者数は8月10日、10万人に達しました。
感染力が従来株より2倍強いデルタ株におき変わる中、何度も過去最多の新規感染者が発生するなど感染爆発が起こり、救急医療や通常医療の必要な人が入院できないなど深刻な医療崩壊になっています。県は、12日、重症病床を199床から213床に、さらに16日には225床まで増やしましたが、16日の重症患者は202人に上り、225床に対する病床使用率は89.7%でなお逼迫状態が続いています。
また、現在、自宅療養者が1ヶ月前に比べ10倍となり、16日には12,685人になりました。さらに深刻なのは、本来入院すべき人が入院できず、自宅で待機する人が急増していることです。15日には、入院を待っている人は109人に上りました。「何十もの病院に断られてやっと6時間後に入院先が決まった」、「40度近くの高熱と、酸素飽和度が92〜94%程度が1週間続いても入院できなかった」など、過酷な実態が寄せられています。また、検査の陽性率は15日には37.27%にも上がり、この状態では感染拡大を防げず、検査を緊急に増やす必要があります。
「重症患者のほか、中等症患者で酸素投与が必要なもの、投与が必要でなくても重症化リスクがあるもの」に入院制限する政府方針では、県民の命は守れません。救える命を救うため、早急に以下の対策を図るよう申し入れます。
○医療提供体制を拡大し、原則入院ができるようにすること。
1、 県病院協会がコロナ患者受け入れ要請を行いましたが、県として、必要な人すべてに安全な治療と安全な療養の環境を保障するため、病院のコロナ患者受け入れ病床をさらに増やすとともに、医療機関に対し設備や医療スタッフを確保する財政支援を行うこと。
2、 入院の待機者を生まないために、自宅療養中に酸素投与が必要になった時に、緊急に酸素投与を行う機能を併せもった「入院待機ステーション」を整備すること。また、臨時の大型入院施設を新たに開設し、機材、人材を確保すること。
3、 自宅療養者のうち、悪化リスクのある方などに地域の看護師が毎日電話による健康観察を行うほか、必要に応じて自宅訪問や医師のオンライン診療を行い、入院が必要な患者には入院調整を行う「地域医療の神奈川モデル」を、郡市医師会と連携して県内全エリアに拡大し、コロナの在宅死が出ないようにすること。3政令市においても「地域医療の神奈川モデル」を実施するよう協議すること。
4、 発熱外来への補助金の復活を国に求めるとともに、県としても財政支援を行うこと。
5、 医療関連3学会の厚労省への要請を受けとめて、抗体カクテル製剤の有効な運用のため、重症化リスクの高い人に対する抗体カクテル療法実施医療施設、宿泊療養施設での使用の体制を早急に構築すること。
○検査を抜本的に拡大し感染の拡大を防ぐ
1、 濃厚接触者の範囲を狭めるなど、積極的疫学調査を縮小するのでなく、医師の判断による検査や民間の施設の活用、全自動PCR検査機器の導入など、抜本的な検査体制の拡充を図ること。
2、 若い世代の感染や保育園、学校などのクラスターが増えている。保育園や幼稚園、学校などの職員にも定期的な検査を実施すること。
3、 保育園、学校、幼稚園、学童クラブ、高齢者、障がい者施設などにおいて、感染者が出たら、早急に全ての利用者、スタッフなどにPCR検査を集中して行うこと。
4、 抗原検査キットを活用した大規模検査を拡大し、あらゆる事業所、家庭、学校などで戦略的に活用し、PCR検査につなげて陽性者の発見、保護に全力をあげること。
○国に早急なワクチン供給を求め、接種を早急に進めること。
○人流抑制のためにパラリンピックの中止を国に求めること。
○感染爆発の中、保健所は積極的疫学調査、PCR検査や入院調整、宿泊・自宅療養者の健康把握、クラスター対策など、感染症対策業務に追われています。保健所体制を強化すること。